2021
04
18
還暦おじさんの冒険(1)「アイヌネギ採り」
還暦を過ぎても少年の心を失っていない一二三くん。
ぼくは彼をパンプキンバンプキンと呼ぶことにした。
パンプキン(pumpkin)は「カボチャ」。
バンプキン(bumpkin)は「無骨ないなか者」。
さて、先日は彼のとっておきの秘密の場所へ連れて行ってもらった。
パンプキンバンプキンの愛車である軽トラック、「流星号」で
そこへ向かった。
到着すると彼は私の上着のポケットをチェックした。
「おう、ええど」。
そこにカッターナイフが入っているかを
確かめたのだ。
私たちの今日の獲物は「アイヌネギ」。
昨年は大きいものをたくさんとったが、豊さまのアドバイスで
まだ初々しいものを採ることにした。
まだ初々しいものを採ることにした。
こちらのほうが断然うまいとのこと。
でも、あとでわかったことだが、パンプキンバンプキンは
そのアドバイスを忘れていた。
彼は本能のまま、目についたアイヌ大ネギは大きくても
採っていた。
この秘密の場所は人が入っていない。
細い川の斜面にアイヌネギが点在していた。
二人で両側に分かれ、2時間以上かけて採った。
パンプキンバンプキンは手慣れている。
わたしは初心者。
斜面は足を踏み入れるとどろどろになった。
何度か下まで落ちそうになった。
わたしが懸命に斜面にへばりついているのを
パンプキンバンプキンは余裕で見ているのだ。
昼めしの時刻がとうに過ぎたころ、流星号に
戻った。
帰り際に3つのうちの1つの袋を彼は私にくれた。
「おっかぁにやれ」
わたしは袋1つだった。
彼はわたしの母の分まで採ってくれていたのだ。
彼はわたしの母の分まで採ってくれていたのだ。
ありがたく彼のアイヌネギをもらった。
ところで、パンプキンバンプキンの舌は超敏感だ。
くさいものやからいものは受け付けない。
そう、彼はアイヌネギを食べる連中によく言う、
「そっだらくせっぇものよく食うっで」。
彼は農耕民族でもあるが、狩猟民族でもある。
獲物をとることが生きがいなのである。
今回は「わさび」を採れなかった。
まだ小さかったのだ。
パンプキンバンプキンはわたしと別れるときつぶやいた。
「まだくるどー」
還暦おじさんの冒険はつづくのである。
2021/04/18 (Sun.) Comment(0) ちどりあし日記